(2000.12.3)
(大和書房、ビル・トッテン著)

ご存知株式会社アシストのトッテン社長の著書。石原慎太郎の後に読んだのは偶然だが、かの著書にも出てきた人でもある。

内容は、慎太郎の前著と似ていて、今のままでは日本はアメリカに一方的に支配されてしまうだろうという警告である。日本には日本人独特の、それも実に優れた商法があり、グローバルスタンダードとは名ばかりのアメリカンスタンダードを米国に押し付けられ、金融ビッグバンや人切りだけのリストラを実施する必要はない、と。

トッテン社長が、アシスト(勿論日本の会社である)アメリカから訪ねてきた後輩たちに他社との競合対策はどうしているか、と聞かれて、「他社は眼中にない。あるのは顧客だけである」と答えている。その「顧客第一主義」を実施するためのセールス活動に下記のようなことがピックアップできる。

@顧客が必要でないものを無理やり売ろうとはしない。
A顧客に最適だと思うものがなければ、何も買ってもらわなくて良いと言えること。
B顧客の希望していることを行うのに、他社の製品の方が適していると思うなら、そちらを推薦すること。
C顧客に最適だと思った場合に限ってアシストの製品を勧めること。

いやー。壊れてもいない製品を清掃するふりして、部品をはずし、「これ、壊れてます。新しいのを買ったほうがいいです」「メンテナンスするパーツがもう製造されていません。だから機械を新しいのに買い換えてください」などとあらゆる嘘をついて顧客に新しい製品を買わせようとするセールスマンしかいないから、そのセールスマンのトークがどこまで嘘かを見ぬけなければいけない、と思っていた俺なんか、恥ずかしくなっちまった。嘘をつかない正直な商売をして、人のためになり、結局自分たちもご飯が食べられるなんて幸せなことだなぁ。俺もそういう商売を目指したいねぇ・・・。と、考えさせられた本であった。